※本セッションの座長は佐藤信紘・岡田昌義両氏となります。
この度の“統合医療のおけるがんの予防および治療”の外国招待講演に次いで、先づ“先進技術”のセッションが取り上げられた意義は大きい。
いうまでもなく、統合医療は近代西洋医学に伝統医学と相補・代替医療を統合するものであり、近代西洋医学の特徴は、“先進技術”であるからである。
このセッションでは、先ず、菊地眞氏による“先進医療技術と統合医療のかかわり”の統括が述べられる。同氏は、21世紀の医療・先進技術として、オミックス、医工学、免疫細胞療法およびゲノム診断を取り上げ、これらの診療技術が統合医療として、疾病の予防、難病の治療にかかわり、人類の健康長寿の増進に寄与することを述べている。
田中博氏は、医療情報学のパイオニアであり、オミックス医療システム(分子)医学の展開を述べる。
疾病を「分子ネットワークの歪み」としてとらえ、“パスウェイ個別化医療”について言及し、がんの転移浸潤のシステム論を展開し、がん創薬の適切性を判断する方式についても報告がなされる。
統合医療の中核となる相補・代替医療は、伝統的経験に基づく療法の歴史的集積であり、必ずしも従来の科学的手法では評価できない内容を包含している。
そこで、仁田新一氏は、医工学手法を利用した独自の評価基準を設定し、鍼灸、ヨーガなどの相補・代替医療の実施による個性的な反応に対する評価方法の研究・開発に関して発表し、さらに、わが国の研究者の報告をまとめ、文科、厚労省の研究についても、その概略が発表される。
免疫細胞療法は、むしろ近代西洋医学の先端技術であるが、わが国では、相補・代替医療の一つとして位置付けられている。木村秀樹氏は、米国で免疫細胞療法を研究し、千葉県がんセンターにおいて臨床応用を行っており、この分野の第一人者である。免疫細胞療法の基礎的原理、さらに臨床応用についての報告が期待される。
疾病は、遺伝と環境の各要素の多様な相互作用により発生すると考えられている。従って、この両者の解明は、がんの診断、予防、さらに治療に当って必須のものである。21世紀に入って、遺伝子分野の研究の進歩には著しいものがあるが、そのデータの蓄積とともに、臨床への応用が検討されるようになった。
すなわちゲノム診断である。
水島洋氏は、わが国における“ゲノム診断”の研究の中心に位置する研究者であり、基礎的研究を推進してきた。氏の発表は、この分野の統合医療への応用により、未来の「医療」が大きく変わることが予測される。
時間 | |
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2/17(金) 13:15-16:15 |
先進技術による統合医療 座長:佐藤信紘・岡田昌義 メッセージを読む |
2/17(金) 16:30-18:00 |
東アジアの補完医療 座長:酒谷薫・後藤修司 ※メッセージは近日掲載予定 |
2/18(土) 9:15-10:45 |
統合医療によるがん治療のモデル 座長:帯津良一・星野惠津夫 メッセージを読む |
2/18(土) 10:45-12:15 |
食事、ビタミン、サプリメント 座長:渡辺昌 メッセージを読む |
2/18(土) 14:00-16:00 |
心身両面からのアプローチ 座長:阿岸鉄三・中井 吉英 メッセージを読む |
2/18(土) 16:15-17:45 |
質の高い延命のためのケア 座長:川嶋みどり・塩田清二 メッセージを読む |
2/18(土) 17:45-18:45 |
先進技術を用いた統合医療 座長:渥美和彦・菊地眞 メッセージを読む |