統合医療は、現代医療の中核をなす近代西洋医学に新たに伝統医学と相補・代替医療を統合するものである。近代西洋医学には、比較的強い物理的エネルギーを生体に作用させて直接的治療効果を引き起こさせる医療技術が多いが、物理療法などに多く見られるような比較的微弱な物理的エネルギーを作用させ相乗的な治癒促進を図る相補的医療技術も存在する。特に微弱エネルギーを生体に作用させる治療法の場合には、治療の作用機序が明白でない(明らかにすべく科学的研究や検証を試みているがはっきりとした作用機序が容易に立証されない)ことが多く、近代西洋医学の領域でも既に統合医療的視点に立って実践的な医療に使用している技術もある。そのような背景を踏まえて、本セッションでは次の二つの物理的エネルギーに関して、近代西洋医学の視点のみならず統合医療の視点に立って再度見直すことで、今後の統合医療において果たす役割と位置づけについて考察する。
川嶋 朗氏は、ホルミシス(1943年にSouthamらにより命名された現象であり、強い又は多いと有害作用になるが、弱い或いは少ないと無害であるどころか良性刺激や有益になる現象を指し、抗生剤やコーヒー等は実感としても容易に理解される)について言及し、特に放射線にも同様のホルミシス現象が存在し、低線量放射線照射ではがん転移を抑制する免疫機能の活性化などいくつもの有益なデータが示されていることを示しながら、科学者の視点から見た放射線ホルミシスについて論じる。
竹内 晃氏は、比較的低温度の温熱を利用したがん治療法であるハイパーサーミアに関して長年に亘る臨床研究・経験に基づいて、その作用機序と治療効果を示す。併せて、近年は低温度領域に限らず各種の高温度治療技術が登場していることを受けて、RF波や収束超音波により発生させた高温度によりがん組織を焼灼する焼灼療法についても言及する。
時間 | |
---|---|
2/17(金) 13:15-16:15 |
先進技術による統合医療 座長:佐藤信紘・岡田昌義 メッセージを読む |
2/17(金) 16:30-18:00 |
東アジアの補完医療 座長:酒谷薫・後藤修司 ※メッセージは近日掲載予定 |
2/18(土) 9:15-10:45 |
統合医療によるがん治療のモデル 座長:帯津良一・星野惠津夫 メッセージを読む |
2/18(土) 10:45-12:15 |
食事、ビタミン、サプリメント 座長:渡辺昌 メッセージを読む |
2/18(土) 14:00-16:00 |
心身両面からのアプローチ 座長:阿岸鉄三・中井 吉英 メッセージを読む |
2/18(土) 16:15-17:45 |
質の高い延命のためのケア 座長:川嶋みどり・塩田清二 メッセージを読む |
2/18(土) 17:45-18:45 |
先進技術を用いた統合医療 座長:渥美和彦・菊地眞 メッセージを読む |