質の高い延命のためのケアについては、従来の西洋医学だけでは達成できない延命治療のほかに、補完・代替医療を適切に医療従事者が行うことが必要であると考えられる。とくにがんのターミナルケアにおいては、身体および精神的な面でのケアが重要であることはいうまでもないが、この点において統合医療の果たす役割はきわめて大きい。このセッションでは、アロマセラピー、鍼灸を用いた緩和ケア、さらに看護師における包括的なケアについての講演と討議が行われる。
アロマセラピーは、精油を使って行う芳香療法が従来から使われてきており、よい香りを嗅ぐと気持ちが安らぎ安定して気持ちを持つことができ、精神的な不安を解消することが知られている。これは、精神的に不安定で睡眠障害などの終末期を迎えた患者さんの痛みや心の問題などを軽減することに役立つと考えられている。しかし最近の研究では、精油そのものががん細胞のアポトーシスを誘導し、しかも正常細胞には影響を与えないことも研究されており、将来的には従来の抗がん治療を補完するものとして汎用される可能性がある。
またがん患者における身体的な痛みは、社会的、精神的な苦痛を伴うことが多く、全人的な痛みの緩和医療が必要であることはいうまでもない。鍼灸においては、痛みを軽減する鎮痛薬の欠点である、副作用の問題、オピオイドの効きにくい痛みの存在などを補完することにより、患者のQOLを向上される可能性が考えられる。鍼灸ががんにとって有効性を持つかどうかについてはその科学的根拠の証明が必要であるが、我が国における鍼灸の緩和医療における役割についても論じられる。
ところで、がんは慢性疾患として考えられてきており、長期的なケアとサポートを必要としている。がんのサポートは全人的であり、包括的なケアが求められていることも事実である。この講演では、看護が必要とされる種類をがん患者の遭遇する時間的経過を追ってしらべ報告する。さらに社会復帰したがん患者へのサポートについても看護の立場から考察を加え、統合医療のなかで果たす看護の役割についても論じられる。
時間 | |
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2/17(金) 13:15-16:15 |
先進技術による統合医療 座長:佐藤信紘・岡田昌義 メッセージを読む |
2/17(金) 16:30-18:00 |
東アジアの補完医療 座長:酒谷薫・後藤修司 ※メッセージは近日掲載予定 |
2/18(土) 9:15-10:45 |
統合医療によるがん治療のモデル 座長:帯津良一・星野惠津夫 メッセージを読む |
2/18(土) 10:45-12:15 |
食事、ビタミン、サプリメント 座長:渡辺昌 メッセージを読む |
2/18(土) 14:00-16:00 |
心身両面からのアプローチ 座長:阿岸鉄三・中井 吉英 メッセージを読む |
2/18(土) 16:15-17:45 |
質の高い延命のためのケア 座長:川嶋みどり・塩田清二 メッセージを読む |
2/18(土) 17:45-18:45 |
先進技術を用いた統合医療 座長:渥美和彦・菊地眞 メッセージを読む |