2010年03月30日
統合医療の推進は既に民主党のマニフェストに述べられている
統合医療の確立ならびに推進
『漢方、健康補助食品やハーブ療法、食餌療法、あんま・マッサージ・指圧、鍼灸、柔道整復、音楽療法といった相補・代替医療について、予防の観点から、統合医療として科学的根拠を確立します。
アジアの東玄関という地理的要件を活かし、日本の特色ある医療を推進するため、専門的な医療従事者の養成を図るとともに、調査・研究の機関の設置を検討します。』※出典:2009 年民主党医療政策詳細版(マニフェスト)
統合医療は身体のみならず、精神、社会環境を含めた全人的医療である。
統合医療は治療のみならず、予防医療、健康増進に役立つものである。
これは統合医療の基本理念であり、米国のNIHにおいて行われている相補・代替医療に関する研究の内容、及び世界各国で開催されている統合医療の国際会議においてなされている発表を見れば明白である。
尚、米国政府は、NIHで相補・代替医療の研究を始める三つの目的として
臨床の場に於けるパイロット・スタディーが必要である中国においては中国医学、インドではアーユルヴェーダ、イスラム、アラブ諸国ではユナニ医学を伝統医学としてとらえ、最近は、近代西洋医学と融合した統合医療を国策として推進してきた。
我が国でも厚生労働省の統合医療の予算として10 億円計上されているが、大部分は漢方の研究に対するものである。
漢方は我が国の誇るべき伝統医学でありエビデンスも十分とされており、今回の予算計上も更なるエビデンスの確証を検討するために出されたものであると考える。
しかし、研究費の計上のみでなく、統合医療の評価に必要なパイロット・スタディーの場とそれに伴う予算計上が肝要である。
世界各国で、相補・代替医療の一部は既に医療として認められ利用されている。
欧米におけるカイロプラクティック、英独におけるホメオパシー、中国における気功、インドにおけるヨーガ、などである。
さらに、最近世界において、CAM の研究が進んでおりアメリカのNIH に於いても鍼の有効性の実証が増えている。
古いデータに基づく見解ではなく、新しい情報を入手した上で正当に評価していただきたい。
最近では、ヨーロッパ、アジア諸国では統合医療を国策として研究し、伝統医療や相補・代替医療を国家財産であると考えている。
米国では大統領直轄の統合医療の検討委員会があり、多角的研究がなされている。
わが国に於いても統合医療を多面的に評価し、成長戦略の原動力の一つとして産業界に於いても、その潜在的可能性を国家戦略として積極的に検討すべきである。
医療の崩壊の主たる原因の一つは、前政権の政策の失敗であり、統合医療による医療費の節減により得られた財源を適切な方向に再配分すべきである。
医師および看護師など、医療従事者の報酬が必ずしも適切でないことは間違いのない事実であり、改善は可及的速やかになされなければならい。
統合医療は医療資源の有効配分を行うものである統合医療は近代西洋医学を軸とし、その標準的治療の一部を安全性および有効性の実証された相補・代替医療によって補完し、統合医療によって医療費節減を図るものである。
この医療費節減の成果を適切な部位に有効配分をすることになる。
7. 現状では、相補・代替医療は必ずしもエビデンスの得られていないものもあり、今後、研究と同時に臨床の場に於いてパイロット・スタディーを行う必要がある。その現場として、九州大学、東北大学などを検討している。わが国の現状においては、相補・代替医療には必ずしも適切でないものが多く含まれており、統合医療の立場も精査のためにパイロット・スタディーを行う必要性を強く訴えている。ガイドラインを設け、排除すべきものは排除すべきである。
統合医療は前述の諸条件を、研究あるいはパイロット・スタディーなどでクリアした上で導入すべきであり、拙速に導入すべきものではないと考えている。
現時、わが国において、混合診療は違法である。
それ故に医療特区などでパイロット・スタディーを実行し、相補・代替医療の安全性、有効性、経済性など精査し上で効果が証明された場合に初めて、将来正統な治療法として保険適用とすべきであろう。
現実に緩和医療を受けている“がん患者”の6 割以上が相補・代替医療の利用者であるという事実は看過できるものではない。
しかし、中には利益のみを追求する悪質なものも多く、その実態調査を早急に行わなければ、更なる被害が拡大するであろうことは自明の理である。
看護師の医療への積極的参加の拡大は、世界的動向であり、また、国民も看護師の活躍を望むところである。
統合医療は単なる相補・代替医療とは異なり、近代西洋医学を包含した患者中心の国民のための医療であり、決して近代西洋医学を否定するものではない。
先日の、オバマ大統領の米国の医療保険に関する改革は国民のための改革であり、日本もその精神を見習うべきである。
統合医療の意義、定義などを医療界のみの討議で終わらせるのでは不充分であり、国民を巻き込んだ市民会議、更には国民の代表である国会の場などで討論すべきであると考える。
日本統合医療学術連合としては、統合医療に関する研究委員会を立ち上げることに関して日本医師会と協力することは、やぶさかではない。
そして、その研究成果を元に民主党議員連盟、統合医療を推進する市民会議などと連携して、統合医療に関する公開討論会を開催することを提案したい。
以 上
日本統合医療学術連合
代表 渥美 和彦