2008年03月09日
「統合医療を実現する超党派議員連盟の会」の会合が2008 年3 月4 日、東京都千代田区の砂防会館で開催された。
綿貫民輔会長(国民新党代表、元衆議院議長)、鳩山由起夫副会長(民主党幹事長)をはじめ、鴨下一郎環境大臣(自民党、医学博士、診療内科医)、白浜一良参議院議員(公明党)、長勢甚遠衆議院議員(自民党、元法相)など、30 名の国会議員が参加、文部科学省、厚生労働省などの関連官庁からも20 名の担当者が出席した。
日本統合医療学会からは渥美和彦、阿岸鉄三、川嶋みどり、蒲原聖可、渥美英子、さらに「統合医療を推進する国民の会」の中條高徳会長(アサヒビール会長)、菊竹清訓副会長(建築家)、「統合医療を推進する市民会議」の梶原拓代表(前岐阜県知事)らが出席した。
長勢甚遠幹事長より開会の挨拶があり、次いで綿貫民輔会長の挨拶があった。
綿貫会長は「健康・医療の問題は国民一人一人にとっても身近な問題で、超党派議員連盟の会としても取り組むべき重要な課題である。
本日は統合医療について、今後の方向を確かめてゆきたい」と述べた。
次いで、鳩山由起夫副会長が「統合医療はわが国のみならず、多くの国の関心事となっており、ぜひ推進していきたい」と力強くエールを送った。
次いで、渥美理事長より「最近は統合医療に世界規模で関心が集まっており、米国ではNIH(国立衛生研究所)を中心に活動が進められ、多くの医科大学や病院で、統合医療に関する学科や診療部門が開設されている。
ヨーロッパでは英国、ドイツ、オーストリア、スイス、北欧で医療連携が進み、統合医療ユーロ連合が結成されている。
多くの国で統合医療センターが開設され、大学や病院で統合医療の教育や研究、さらに臨床が進められている」との報告があった。
さらに「アジアでは中国と韓国、それにインドやマレーシア、タイなどで国家が支援する統合医療センターを中心に健康都市までが創設されている」と国を挙げて取り組まれている現状を紹介した。
渥美理事長は最後に「統合医療はグローバルな規模で急速に展開し、さまざまな国で国策として推進されている」とし、以下のような提言をまとめた。
そのためには統合医療に関する調査研究が急務であることを述べ、その実現を訴えた。
次いで文部科学省、厚生労働省からも統合医療に対する支援、将来への取り組みについての説明があった。
その後、阿岸、川嶋、梶原、中條などの各氏よりコメントが寄せられ、期待や奨励の言葉があり、会場は熱気に包まれた。
最後に長勢幹事長が「今後もこの会を頻繁に開催し、具体案の検討を行うことにする」としめくくった。
統合医療の実現にはまだまだ多くの時間を必要とするが、これだけ有力な国会議員の支援を得るができているので、それだけ「統合医療の時代」を早く引き寄せられるものと期待される。
「統合医療を実現する超党派議員連盟の会」の会合が開催された日の翌3 月5日、今度は衆議院第二議員会館で民主党議員による勉強会が開催された。
これは民主党の国会議員85人で結成された勉強会で、会場は出席者が入りきれないほどの熱気のなかで開催された。
牧 義夫衆議院議員の司会で始まった勉強会で、鳩山由紀夫会長は次のように挨拶した。
「昨日、超党派で統合医療を推進する会合を開いたばかりだが、民主党はこの問題に真剣に取り組んでおり、今日は80 人を超える議員が参加して統合医療を推進しようとしている。
特に、国民の立場に立ったわが国の医療の在り方、医療費の適正化を議論し、時代の要請に合った実効性のある内容で環境や法律の再整備を図っていきたい」。
次いで渥美和彦理事長より「統合医療とは何か」という定義から説明があり、世界における統合医療の現状、国民の期待、国家としての取り組み、統合医療センターや統合医療大学、医科大学に於ける統合医療学科の開設、これらによる社会的、経済的インパクトの大きさ、今後の健康と医療の未来像などについての紹介があった。
そして統合医療の実現には、わが国の政府、医学会、社会、市民など、さまざまなレベルでの理解と協力が不可欠であることを述べ、議員への期待を伝えた。
会場には東京大学医学部の学生の特別参加があり、統合医療への期待に溢れていた。
こうした活動によって「統合医療実現への道」が身近なものになりつつあることが感じられた。
渥美和彦理事長は今回の勉強会について「統合医療に関する世界の滔々とした流れに押されて、わが国の政府もようやく重い腰を上げようとしている。
議員連盟、民間人の会、学術連合が三位一体となって統合医療を推進していく必要があるが、これに市民の会が加わって、四者一体となることが期待される」とコメントを寄せている。
統合医療の推進活動は、医学のせまい範囲から抜け出て、ようやく社会活動としての広がりを持ちはじめてきたようだ。