ホメオパシーに対する日本統合医療学会理事長の見解
2010年08月26日
日本統合医療学会会員各位
昨日(8 月25 日)の朝日新聞(朝刊)に、“ホメオパシー”に対する日本学術会議の見解が述べられ、大きな話題となっています。
この新聞報道は、ホメオパシーの“或る団体”の不正事件を大きく取り上げたものであり、更には発表された「日本学術会議会長談話」には実態と異なる内容が含まれており、結果として誤解を生む内容となっています。
そこで、日本統合医療学会として、
- 日本学術会議に、早急(9 月中旬)に、公開討論会の開催を呼びかける。その場に於いて、ホメオパシーに関する国の内外の実態を明らかにすると共に、統合医療の立場を明確にする。
- 関係諸団体に対して、統合医療の立場を明確に伝えるよう努力する。
統合医療理事長の見解
A)ホメオパシーについて
- アメリカ国立衛生研究所(NIH)では、ホメオパシーは代替医療の分野として、調査研究の対象となっており、当学会でも同意見である。
- 諸外国に於いては、ホメオパシーの有効性の報告が多くあり、ホメオパシーは研究の対象であると考えられている。
- 今回、問題となった「ホメオパシーの療法」は、助産師の職権を逸脱した医療行為であり、しかも、独断で正当な医療を排除したとすれば、それは正に犯罪行為であり、処罰されるべきである。今後、この様な問題の発生を防止する為、国家は厳しい規制を考える必要がある。
B)統合医療および代替医療について
- 医療としては、科学的エビデンスのある近代西洋医学を中心に進めるべきであり、代替医療は、それを補うものとして利用すべきである。
がんの末期や難病など、現在の近代西洋医学が治療不可能なものに対しては、患者とのコンセンサスの下に代替医療の利用を検討する必要があると考えている。
最後まで患者を見捨てない患者中心の医療が統合医療である。
- 各種の代替医療について、安全性、有効性、さらに経済性の3 点について調査研究する必要があり、適切なものは利用を推進し、不適切なものについては、国家としてガイドラインを設け、規制すべきである。
- 代替医療には現時点で安全かつ有効で利用すべきものが多く存在する。今回のような不適切なホメオパシーの団体の不適切な使用の事件により、安全で有効な代替医療が否定されることがないようにしたい。
一般社団法人日本統合医療学会
理事長渥美和彦