近年、医療技術の革新にはめざましいものがあります。中でも分子生物学やシステムバイオロジー分野におけるバイオ研究、遺伝子工学の技術を駆使したゲノム治療や再生医学、先制医療とも呼ばれる予防医学、情報工学やロボット工学を用いた人工臓器などを含むエンハンスメント(サイボーグ)技術、さらには脳機能イメージングなど、先端医療の種類と可能性は限りなく広がりつつあり、その発展には多くの期待が寄せられています。
統合医療はそれら先端医療を否定する医療ではありません。人の命を救うためには、先端医療技術の発展は常に求められるべきものであり、先端医療も統合医療の範疇であると捉えています。
一方で、先端医療だけでは解決できない課題があるのも事実です。術後のリハビリや患者への不定愁訴への対応、末期がん患者への精神的ケアを含めた緩和ケアなど、近代西洋医学では対応が難しい症例については、伝統医学、相補・代替医療が有効な場合も多く見られます。
また、伝統的に体に良いとされてきた食べ物や食事療法、サプリメントなど、疾病予防・健康増進といった予防医学領域においては伝統医学や相補・代替医療を誰もが身近に行ってきました。
患者が本当に必要な医療を自らの意志で選択し得る、そんな医療環境が整っていくためにも、統合医療の体系化が求められています。ここでもっとも重要となるのは、各医学の特長と課題を正しく把握し、患者本位のより良い医療を目指そうとする姿勢です。
統合医療は、技術革新が進む先端医療をはじめとした近代西洋医学と地域文化・伝統に根ざした伝統医学や相補・代替医療が融合するハイブリッドな医療なのです。